会社経営において守るべき法律とは? 弁護士が解説

2024年12月12日
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会社経営において守るべき法律とは? 弁護士が解説

会社を経営するに当たっては、さまざまな法律のルールを知り、順守しなければなりません。

知らぬ間に法令違反となるリスクを回避するためには、顧問弁護士のサポートを受けるのも有効な手段です。

本記事では、会社経営において守るべき法律について、ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスの弁護士が解説します。

1、会社が守るべき基本的な法律

会社経営に当たって守るべき法律はたくさんありますが、その中でも民法・商法・会社法は、すべての企業が順守すべき基本的な法律です。

  1. (1)民法

    民法は、企業間の取引や企業・個人間の取引などについて、基本的なルールを定めています。

    特に企業経営との関係では、契約に関するルールが重要です。民法ではさまざまな契約類型が挙げられており、各契約類型について詳細なルールが定められています。

    企業としては、自社の取引がどの類型の契約に該当するのかを確認し、適用される民法のルールを踏まえた上で、契約書の作成やチェックを行わなければなりません。

  2. (2)商法

    商法は民法の「特別法」であり、かつ会社法の一般法という位置づけの法律です。

    特別法とは、一般法について特別なルールを定める際に用いられる法律です。一般法と特別法の規定が矛盾抵触する場合は、特別法が優先されます。

    会社に関しては会社法に詳しいルールが定められているので、商法の規定が直接問題となるケースは比較的少ないです。ただし、商事留置権(商法第521条)など特有の規定も定められているので、商法についても頭の片隅に置いておきましょう。

  3. (3)会社法

    会社法は、会社の組織や運営などに関するルールを定めた法律です。

    会社設立、株式の発行、株主総会・取締役会の運営など、会社によるあらゆる行為には会社法の規定が適用されます。そのため、会社を経営するに当たって、会社法は最も重要な法律と言っても過言ではありません。

    弁護士のサポートを受けながら、会社法の規定を順守した企業経営に努めましょう。

2、人事・労務に関して守るべき法律

会社において労働者を雇用する際には、人事・労務に関する法律を順守する必要があります。重要度の高い人事・労務に関する法律としては、労働基準法・労働契約法・労働安全衛生法・労働組合法などが挙げられます。

  1. (1)労働基準法

    労働基準法は、労働条件の最低ラインを定めた法律です。賃金・労働時間・休憩・休日・有給休暇などに関するルールが定められています。

    労働基準法上の水準に満たない労働条件の設定は無効であり、自動的に労働基準法上の水準まで引き上げられてしまいます(労働基準法第13条)。また、企業の労働基準法違反が労働基準監督署に発覚すると、是正勧告を受けることがあるほか、刑事訴追されてしまうケースもあります。

    労働条件の設定や、実際の労務環境の構築に当たっては、労働基準法のルールを常に意識しなければなりません。

  2. (2)労働契約法

    労働契約法は、使用者と労働者が締結する労働契約(雇用契約)についてのルールを定めた法律です。

    労働契約法では、労働契約と就業規則の関係性などに関するルールが定められています。
    特に、就業規則の変更によって労働条件を労働者の不利益に変更することは、原則としてできないとされている点が重要です(労働契約法第9条、第10条)。

    さらに、解雇を厳しく制限する「解雇権濫用の法理」(同法第16条)や、有期雇用労働者の雇止めを制限する「無期転換ルール」(同法第18条)および「雇い止め法理」(同法第19条)など、重要度の高いルールが定められています。

  3. (3)労働安全衛生法

    労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律です。

    労働安全衛生法では、労働者の安全衛生管理体制の整備、危険や健康障害を防止するための措置、危険物や有害物の取り扱い、健康診断の実施などについてルールが定められています。
    また、職場において労働災害が発生した場合には、労働安全衛生法に基づいて労働基準監督署への報告を行わなければなりません。

    そのほかにも、職場における安全・衛生環境に関して、企業は労働安全衛生法におけるさまざまなルールを順守する必要があります。

  4. (4)労働組合法

    労働組合法は、使用者と労働組合の間で適用されるルールなどを定めた法律です。

    会社は、労働組合から団体交渉を求められた場合は、正当な理由なく拒否してはなりません(労働組合法第7条第2号)。そのほかにも、労働組合との関係で会社側が順守すべきルールなどが定められています。

    会社の規模が大きくなってくると、労働者側が労働組合を結成するケースがあります。労働者によって労働組合が結成されたら、労働組合法のルールを意識して対応しましょう。

3、消費者保護に関して守るべき法律

消費者向けにビジネスを行う企業は、消費者契約法・景品表示法・個人情報保護法などのルールを踏まえて事業を運営する必要があります。

  1. (1)消費者契約法

    消費者契約法は、事業者による消費者の搾取を防ぎ、消費者の利益を守ることを目的とした法律です。

    消費者契約法では、事業者から不当な勧誘を受けた場合に、消費者は契約を取り消せる旨が定められています(同法第4条)。また、消費者にとって不当に不利益な消費者契約の条項は、無効とされている点にも注意が必要です(同法第8条~第10条)。

    企業としては、消費者契約法のルールを踏まえて、消費者に対して不適切な勧誘を行わないことや、消費者と締結する契約の条項に問題がないかどうかチェックすることなどが求められます。

  2. (2)景品表示法

    景品表示法は、不当な景品類や不当表示によって顧客を誘引する行為を防止するため、必要な規制を定めた法律です。

    景品表示法では、高額過ぎる景品を提供して消費者を誘引する行為が禁止されています。
    また、商品やサービスの品質などを不当によく見せる「優良誤認表示」や、価格などについて実際よりも有利であると誤認させる「有利誤認表示」が禁止されています。

    企業が消費者向けに広告などを行う際には、景品表示法のルールを順守しなければなりません。

  3. (3)個人情報保護法

    個人情報保護法は、個人情報などの取り扱いに関するルールを定めた法律です。

    企業が個人情報を取得する場合は、個人情報保護法のルールに従って管理しなければなりません。たとえば、個人情報の利用目的をあらかじめ明示すること(同法第17条、第18条)や、データベース管理されている個人情報(=個人データ)について安全管理措置を講じること(同法第23条)などが定められています。

    また、本人から個人データの開示・訂正・追加・削除・利用停止・消去などを請求された場合には、個人情報保護法のルールに従って対応しなければなりません(同法第32条~第39条)。

4、業種ごとに確認しておきたい法律

特定の業種に限って適用される法律もありますので、自社の業種に応じてどの法律が適用されるのかを確認しましょう。一例として、建設業法・食品衛生法・食品表示法・薬機法を紹介します。

  1. (1)建設業法

    建設業法は、建設工事を行う業者(=建設業者)に対して適用される法律です。

    建設業を営もうとする者は、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません(建設業法第3条)。また、建設工事請負契約には、建設業法第19条所定の事項を定める必要があります。

    建設業法には上記のほかにも、建設業の受発注に関して順守すべきさまざまなルールが定められています。

  2. (2)食品衛生法・食品表示法

    飲食物を製造・販売する企業などは、食品衛生法や食品表示法のルールを順守しなければなりません。

    食品衛生法は、公衆衛生の見地から食品の安全性を確保することを目的とした法律です。同法に基づいて公表された「食品、添加物等の規格基準」によって、食品や添加物の種類ごとに順守すべき安全基準が定められています。

    参考:「食品別の規格基準について」(厚生労働省)

    食品表示法は、食品の表示に関するルールを定めた法律です。同法に基づいて公表された「食品表示基準」によって、食品や添加物の種類ごとに順守すべき表示に関する基準が定められています。

    参考:「食品表示基準」(e-gov法令検索)

  3. (3)薬機法

    薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品(=医薬品等)の製造や販売などに関するルールを定めた法律です。

    医薬品等の製造や販売などを行う際には、対応する許可を取得しなければなりません。また、医薬品等の取り扱いに関しては、薬機法上のルールを順守する必要があります。

5、企業経営に関するお悩みは弁護士へ相談を

企業に適用される法律を漏れなく順守し、安定的な事業運営を行うためには、弁護士のサポートを受けるのが安心です。

顧問弁護士と契約すれば、自社が順守すべき法律のルールや、具体的にとるべき対応などについていつでも相談できます。法改正への対応についても、顧問弁護士のアドバイスを踏まえて適切かつ迅速に行うことが可能となります。

ベリーベスト法律事務所は、月額3980円からご利用いただける定額の顧問弁護士サービスをご提供しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

6、まとめ

会社が守るべき法律は、非常に多岐にわたります。適用される法律を漏れなく順守して、コンプライアンスを徹底した企業経営を行うためには、弁護士のサポートを受けましょう。

ベリーベスト法律事務所は、企業法務に関するご相談を随時受け付けております。自社が守るべき法律についてアドバイスをお求めの方は、ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています