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自首すると減軽(減刑)される? メリット・デメリットや出頭との違いについて

2022年12月05日
  • その他
  • 自首
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自首すると減軽(減刑)される? メリット・デメリットや出頭との違いについて

平成22年4月、豊島区池袋のホテルで死亡している若い女性が発見されるという痛ましい事件が発生しました。報道によると、さいたま市に住む男が埼玉県の浦和警察署に「池袋のホテルで人を殺した」と自首してきたため、池袋警察署の署員がホテルを確認したとのことです。

罪を犯したあとで逃げきれないことを悟った、罪を償う覚悟を決めたなど、自首を思い立つ理由はさまざまですが、自首がもたらすメリットにも注目するべきでしょう。

自首すると「刑が軽くなる」といわれていますが、実際に減軽されるのでしょうか? 本コラムでは「自首」と「減軽(減刑)」の関係を解説していきます。

1、「自首」とは?

まずは、「自首」とはどのような手続きなのかを確認していきます。
法律が定める自首と、一般的な意味での自首は異なるので、注意してみていきましょう。

  1. (1)法律が定める自首とは?

    「自首」について定めているのは刑法です。
    刑法第42条1項には「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したとき」と明記されています。

    つまり、自首は警察や検察官といった捜査機関が犯罪を認知するよりも前、あるいは犯罪を認知したとしても犯人が誰であるのかが発覚するよりも前におこなわれるのが原則です。
    被害者や目撃者の通報などで、すでに事件が発覚しており、容疑者として捜査の対象になっている状況では自首は成立しません。

  2. (2)出頭との違い

    罪を犯した者が自ら警察署などに出向くことを「出頭」といいます。
    よく、ドラマや映画などで、警察の追っ手から逃げている犯人が、家族や恋人など、周囲の人から促され、警察署などに自ら出向くことを自首として描いているものがありますが、この場合すでに捜査機関は事件の内容や容疑者を特定しているため、法律上の自首は成立しません。

    出頭と自首は、行為そのものに違いがないように感じられるので混同されがちです。
    しかし、自首は法律による有利な扱いが定められていますが、出頭には法的な保護や優遇がないという違いがあります。

2、自首すると「減刑」される? 自首がもたらす効果

罪を犯した者が自首することは、事件や被害者に対して深く悔い改めており、罪を償いたいという心情がわかる要素にもなり得ます。また、本人も罪を認めているので、裁判官が情状酌量する可能性も高まることから、自首には法律による有利な扱いが定められています

  1. (1)自首は「刑の減軽」を受けられる可能性がある

    まず、自首と減軽の関係を解説する前に、「減軽」と「減刑」の違いを理解しておきましょう。

    減軽とは、実際に刑を言い渡す際に、裁判所が刑を軽くすることを指します。一方で、減刑とは「すでに言い渡しを受けて服している刑を軽くする」という処分であり、極めて特殊なケースでのみおこなわれる恩赦のひとつです。そのため、「減軽」とは異なります。
    一般的には刑を軽くすることを総称して「減刑」という表現が用いられることもあるようですが、意味することは異なります。なお、本コラムでは「減軽」について解説します。

    刑法第42条1項は、自首について「刑を減軽することができる」と明記しています。
    犯罪に対する刑罰の重さはすべて法律による定めがあり、基本的に上限・下限を超えることはありません。

    たとえば、盗撮行為は東京都をはじめ、全国の都道府県が定める迷惑防止条例の違反になりますが、罰則として、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という範囲が明記されています。

    裁判官は、犯罪の悪質性や被害の程度など、さまざまな事情を考慮して、法律が定める範囲内で適切と考えられる量刑を言い渡しますが、刑の減軽が適用されると法律が定める刑の上限・下限が半減するので、結果として刑が軽くなるのです。
    刑法第68条には、具体的な減軽の内容が定められています。

    ただし、刑の減軽は「することができる」と表現されているため、必ず減軽されるわけではありません
    形式的には自首しているものの、反省の色がうかがえず、終始言い逃れをしている、うその供述をするなどの状況がある場合は、刑の減軽が受けられない可能性があります。

  2. (2)自首がもたらす効果

    自首には、刑の減軽が受けられる可能性に加えて、次のような利点があります。

    • 自らの処分を望んで身を委ねていることから、逃亡や証拠隠滅のおそれがない判断されて逮捕の危険性が低下する
    • 深い反省を示すことで、検察官が不起訴処分として刑事裁判が見送られる可能性が高まる
    • 刑の減軽が受けられなくても、裁判官が量刑を判断する際の有利な事情になり、刑罰が軽くなる可能性がある


    ただし、自首が必ず有利にはたらくとは限りません。
    次に挙げるように、自首が不利益をもたらしてしまうおそれもあります。

    • 申告しなければ容疑者として特定されなかった状況でも捜査の対象になってしまう
    • 警察が自首ではなく不当に出頭として扱うことで、法的な優位を得られないおそれがある
    • 逮捕の回避に対する法的な保護はないので、自首後直ちに逮捕される危険がある
    • 必ず刑の減軽を受けられるわけではないので、厳しい刑罰が科せられることもある


    自首がもたらす効果には、有利な面があれば不利益につながる面もあります。
    有利な面を生かして不利益を避けるには、慎重な判断と法的な優位を確保するための対策が欠かせないため、弁護士にアドバイスを求めたほうがよいでしょう

3、自首の際に気を付けたいポイント

「自首をしたら刑は減軽される」と安易な判断で自首をすると、かえって不利な状況をまねく危険があるため注意が必要です
そのため、実際に自首すべきかどうかは必ず弁護士に相談したうえで判断しましょう。

ここでは、自首の際に気を付けたいポイントをご紹介していきます。

  1. (1)電話の方法は自首が成立しない

    意外に感じる方もいるかもしれませんが、自首は非常に厳格な刑事上の手続きのひとつです。
    また、法律によって有利な扱いが用意されている理由には、捜査経済上の負担が軽減されるからという面もあります。だからこそ、直接の申告ではなく電話など方法での申告は自首として認められません

    なお、家族などによる代理申告も基本的には認められませんが、弁護士が代理人となって自首報告書などによる書面で自首を担保することは可能です。

  2. (2)可能な限り事件現場を管轄する警察署へ自首する

    事件現場と自分の住居地が離れている場合は、事件現場の警察署に自首するか、それとも最寄りの警察署に自首するのかという問題が生じます。
    事件捜査を担当していない警察署に申告した場合でも自首は有効ですが、身柄の引き継ぎなどで時間がかかることになるでしょう。

    事件現場が遠隔地である、急いで自首しないと法的な要件を失うおそれがあるといった事情がなければ、可能な限り事件現場を管轄する警察署に自首したほうが賢明です

  3. (3)証拠品を持参する

    犯行に使用した凶器や盗んだ被害品など、事件に関する証拠を持参したうえで自首することをおすすめします
    証拠品を自宅などに残したままにしていると、証拠品を押収するために家宅捜索がおこなわれてしまう可能性もあります。

    家宅捜査がおこなわれると、家族など一緒に住んでいる方に心配や負担をかけてしまうため、事件に関係のある証拠品や資料はできるだけ持参した上で、警察署へと向かいましょう。

4、自首した後の刑事手続きの流れ

警察に自首すると、その後はどうなるのでしょうか?
ここでは、自首したあとの刑事手続きの流れを解説していきます。

  1. (1)警察による取り調べを受ける

    自首が有効だと判断されると、まず警察による取り調べを受けます。
    取り調べで述べた内容は「自首調書」という書面にまとめられて、自首の際にどのような犯罪を申告したのかが録取されます。

    自首後に逮捕されると、警察から48時間以内の身柄拘束を受けたうえで、さらに詳しい取り調べがおこなわれます。
    一方で、逮捕されなかった場合は帰宅を許されるので身柄拘束は受けません。
    ただし、取り調べは1日だけでは終わらないため、警察署に何度か通って取り調べを受けることになるでしょう。

  2. (2)必ず検察官へと送致される

    警察から検察官へと事件が引き継がれることを「送致」といいます。
    ニュースなどで耳にする「送検」とは、検察官への送致を指すマスコミ用語です。

    警察には、捜査した事件について、検察官に送致するか、送致せず警察限りで終結するかを選ぶ権限があります。
    送致されないことを「不送致」といい、事件が終結するため、刑事手続きもそれ以上は進みません。
    ただし、自首事件は刑事訴訟法第245条や第242条の規定により、必ず検察官へと送致される決まりになっています。

    なお、逮捕されずに送致された場合は、警察が作成した捜査書類や証拠品だけが検察官へと送致されます。これがニュースなどでもよく登場する「書類送検」です。

  3. (3)起訴されると刑事裁判が開かれる

    送致を受理した検察官は、みずからも取り調べなどの捜査をおこないます。
    逮捕を伴う事件では、勾留によって最長20日間にわたる身柄拘束の延長がおこなわれることもあります

    検察官は、捜査の結果に照らして刑事裁判を起こすべきか、それとも見送るべきかを慎重に判断します。
    起訴されると刑事裁判が開かれることになり、不起訴になればその時点で事件は終結となります。

5、安全で有効な自首のために弁護士ができること

単に「事件を起こしてしまいました」と申告するだけでは、自首が成立するとはいえません。
法的な要件や自首がもたらす効果などを、総合的に考慮する必要もあるので、自分だけの判断でアクションを起こすのではなく、まずは弁護士に相談することをおすすめします

  1. (1)自首が有効な状況なのかを判断できる

    弁護士に相談することで、自首として有利な扱いを受けられるのか、正確に判断できます。
    詳しく状況を調べたうえで、法的に自首が成立するのか、あるいは出頭としての扱いしか受けられないのかの答えを得られるので、刑の減軽を受けられるかどうかの可能性も知ることが可能です

    ひとりで悩むよりも、法律の知識を豊富にもつ弁護士への相談をおすすめします。

  2. (2)警察署への同行を依頼できる

    自首する際は、警察署へと出向く必要があります。
    事件を起こしてしまった経験がない方はもちろん、過去に事件を起こした経験がある方でも、ひとりで警察署に出向くのは心細く、不安な気持ちでいっぱいになるものです。
    警察が本当に正しく自首として扱ってくれるのか、いきなり逮捕されないかといった不安も尽きないことでしょう。

    警察に自首する際は、弁護士が同行することも可能です。
    弁護士が事前に自首報告書を作成して警察に申告し、当日、弁護士が同行すれば、自首の安全性も高まるでしょう。
    また、弁護士には警察による不当な扱いを監視する役割もあるため、要件を満たさない不当逮捕の抑止にもつながります

  3. (3)刑の減軽を実現するための弁護活動が期待できる

    自首が有効に認められても、必ず刑の減軽を受けられるわけではありません。
    あくまでも自首がもたらすのは「減軽の可能性」であり、実際に刑が減軽されるかどうかは裁判官の裁量に委ねられているのです

    刑の減軽を得られるかどうかは、犯罪の悪質性や、被害の程度などに加えて、事件後、被害者への謝罪や賠償が尽くされているか、深い反省があり再犯のおそれが薄いのかといった点も判断材料になります。
    被害者との示談交渉や家族による監督強化の誓約など、さまざまな手を尽くさなくてはならないため、弁護士からのアドバイスやサポートは欠かせません。

6、まとめ

自首が法的に有効となった場合は、刑の減軽によって刑罰が軽くなる可能性があります。
しかし、自首することによって逮捕の可能性が低くなったり、不起訴になる可能性が高まったりする効果も期待できますが、自首することで必ず利益を得られるとは限りません

そこで、弁護士に依頼して示談成立が実現すれば、自首という選択をしなくても、事件化そのものを防ぐことも可能です。

自首が有効となるかどうかの判断は非常に難しいため、個人で判断するのは控え、弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。
自首に関するお悩みは、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 池袋オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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