被害届を出されたら会社にバレる? 受理されたのかを確認する方法は?

2023年01月30日
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被害届を出されたら会社にバレる? 受理されたのかを確認する方法は?

池袋警察署が公表している『過去5年間の刑法犯の推移』によると、令和3年中の刑法犯の件数は1684件でした。池袋警察署の管内では、1日あたり4件の犯罪が発生していることになります。

痴漢や盗撮など、何らかの罪を犯してしまうと、その場で捕まらなかったとしても、後日、被害者から被害届が提出される可能性があります。
被害者から被害届が提出されると、どのような流れで捜査が進んでいくのでしょうか。また、被害届が提出され、捜査を受けていることが、会社や家族にバレてしまうことはあるのでしょうか。

今回は、被害届を提出され、捜査を受けていることがバレることがあるのか、被害届が受理されたかを確認することが可能なのかについて、ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスの弁護士が解説します。

1、被害届を提出されたら会社や家族にバレる?

被害者が警察に被害届を提出した場合、そのことが会社や家族にバレることはあるのでしょうか。

  1. (1)被害届が提出されても会社や家族に連絡はされない

    被害届とは、被害者が犯罪の被害を受けたことを警察に申告するための書面です。

    被害届が提出されたとしても、警察は、その事実を加害者の家族や関係者に知らせることはありません。
    つまり、加害者の会社に対して連絡するということは基本的にはないので、会社にバレることはないのです

  2. (2)例外的に会社にバレる可能性があるケース

    被害届が提出されたとしても、基本的には会社にバレないというのは前述したとおりです。しかし、以下のようなケースでは、罪を犯したことが会社にバレてしまうおそれがあります。

    ① 新聞やニュースで報道された場合
    犯罪事実が新聞やニュースで報道され、加害者の実名や勤務先が報道された場合、それらを通じて罪を犯したことが会社に知られてしまうことがあります。
    重大犯罪でなければ全国ニュースにはなる可能性は低いですが、地方紙であれば軽微な犯罪であっても取り上げられることがあるため注意が必要です

    ② 身柄を拘束された場合
    逮捕や勾留によって身柄を拘束された場合には、最長で23日間の身柄拘束を受けます。
    その間は、警察署の留置施設の外に出ることができないため、当然会社に出勤することもできません。長期間会社を欠勤すれば、会社から家族等に連絡がいくのは避けられないでしょう。また、無断欠勤が続けば、会社を解雇されてしまう可能性もあります

    ③ 会社も関係者である場合
    会社も事件の関係者である場合には、捜査のため警察から会社に連絡がいくことがあります。この場合には、警察からの連絡によって、罪を犯したことがバレてしまいます。

    ④ 被害者からの連絡
    加害者と被害者が顔見知りでない場合、通常は連絡先を知り得ないので、被害者は加害者と連絡を取ることができません。
    しかし、被害者が加害者の勤務先を知っている場合には、唯一の連絡先である加害者の勤務先に連絡してくる可能性も否定できません。

2、被害届が受理されたあとの流れ

被害者が提出した被害届が警察で受理されたあとの、捜査の流れについて解説します。

  1. (1)被害届の提出・受理

    被害者は、どのような被害を受けたのかを伝えるために、警察に被害届を提出します。

    被害届に記載されている内容に事件性があると判断した場合には、警察において被害届が受理されます

    ただし、個人間での金銭を貸し借りで起きたトラブルなど、民事上の問題については、民事不介入の原則により被害届を提出したとしても受理されません。

  2. (2)警察による捜査

    被害届が受理されたあとは、警察による捜査が始まり、被疑者や関係者への取り調べ、事件現場での実況見分などが行われます。

  3. (3)被疑者の逮捕・勾留

    被疑者への取り調べは、任意で行われる場合もありますが、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが認められる場合には、被疑者の逮捕が行われることがあります。

    逮捕された場合には、警察の留置施設に身柄拘束がされ、逮捕期間中は家族であっても面会することはできません

    逮捕された場合、48時間以内に被疑者の身柄は検察に送致され、検察官は24時間以内に被疑者について勾留請求するかを判断し、裁判所に対し、勾留請求を行います。

    引き続き、被疑者の身柄を拘束する必要があると判断した場合、検察官は裁判所に対して勾留延長請求を行います。
    勾留延長請求が認められた場合には、さらに10日間身柄拘束を受けることになります。

  4. (4)起訴または不起訴

    身柄拘束をされている事件では、原則として、勾留期限の満期までに、検察官が起訴もしくは不起訴の判断を行います。

    また、身柄拘束をされていない在宅事件の場合は、必要な捜査を終えた時点で、判断が行われます。

    不起訴の判断がなされた場合には、前科が付くことはなく釈放されます
    これに対して、起訴された場合には、その後の刑事裁判において、被告人として裁判を受けることになります

3、被害届が受理されたかどうか確認することは可能?

罪を犯した本人としては、被害者から被害届が提出されたかどうかが非常に気になるところです。

警察から任意での取り調べを求められた場合には、被害者から被害届の提出があったことを知ることができますが、それ以前に被害届が提出・受理されたかを知る方法はありません

被害届の提出・受理の有無は、捜査上の秘密にあたります。
また、被疑者本人が逃亡してしまったり、証拠を隠ぺいしてしまったりするおそれがあるので、警察に確認しても現在の状況を教えてくれることはないでしょう。

被害者本人に問い合わせたいと考えるかもしれませんが、加害者に対して恐怖心や不信感を抱いている被害者に対して直接連絡を取ることは得策とはいえません。

そのため、捜査機関から被疑者に連絡が来るまでは、被害届が受理されたかどうかを確認することは困難だといえます。

4、被害届が提出された場合にできることは?

被害届が提出された場合、加害者としてはどのような対応をすればよいのでしょうか。

  1. (1)弁護士に相談

    被害者から被害届が提出された場合には、すぐに弁護士に相談をすることをおすすめします

    被害届が警察で受理されると、捜査が開始されていきます。

    しかし、具体的にどのような流れで捜査が進むのか、被害届が提出されたことによってどのような不利益があるのかを知っている方は少ないのではないでしょうか。

    不安なまま毎日を過ごすよりも弁護士に相談して、具体的なアドバイスを得られれば、多少でも安心して生活することができるといえます。

    後日、逮捕されてしまったとしても、早めに弁護士に相談をしておけば、逮捕後にすぐに弁護活動に着手してもらうことができますので、そういった面でも早期に弁護士に相談をしておくことが大切です

  2. (2)被害者との示談

    被害者との間で早期に示談を成立させ、被害届を取り下げてもらうことができれば、処罰される可能性は低くなります。

    このように、被害者と示談をすることは有利な処分を獲得するうえで非常に重要といえますが、加害者本人が被害者に直接連絡をしたとしても示談に応じてくれる可能性は低いでしょう。

    そもそも、当事者同士で面識がない場合には連絡することすらできません。
    仮に、連絡先を知っていたとしても、本人からの連絡については拒否されてしまう可能性が高いと考えられます。

    そのため、被害者と示談をする際には、弁護士の協力を得て行うことをおすすめします。
    弁護士であれば、捜査機関から被害者の連絡先を入手できる可能性があるので、面識のない被害者とも示談交渉を進めることが可能です

    また、弁護士が窓口となることで被害者が安心し、話し合いに応じてくれることにも期待できます。

    ただし、被害届はあくまでも警察が捜査を開始するきっかけなので、被害届が取り下げられたら必ず不起訴になるというわけではないということを、心得ておきましょう。

5、まとめ

被害者から被害届が提出されたとしても、直ちに会社にバレることはありません。

しかし、被害届が受理され、警察による捜査が開始した場合には、適切な対応を取らなければ、身柄を拘束されるリスクもありますし、刑事裁判によって前科が付いてしまう可能性もあります

罪を犯してしまったという方は、お早めにベリーベスト法律事務所 池袋オフィスまでご相談ください。
刑事事件の経験豊富な弁護士が、しっかりとサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています