「夫の浪費に疲れた…」もう限界、離婚はできる? 相談先は?
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「夫が浪費ばかり」「何度も注意しているのにやめてくれない」「離婚もやむなし…」など、夫の浪費で悩む妻は少なくありません。
夫の浪費を改善するには、ケースに応じて適切な専門家に相談することが重要ですが、「これ以上婚姻を継続するのは難しい」と感じる場合は、離婚問題の実績がある弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスの弁護士が解説します。


1、「夫の浪費に疲れた!」なぜ夫は浪費するのか?
夫の浪費癖に「疲れた」と感じ、離婚を検討する方もいるかもしれません。そもそもなぜ夫は浪費するのでしょうか。
以下では、夫が浪費する主な原因について説明します。
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(1)ギャンブル依存
夫がパチンコ、競馬、競輪、競艇などのギャンブル好きだと、ギャンブルに浪費することがあります。ギャンブル依存症となれば、稼いだお金のほとんどをギャンブルにつぎ込んでしまうでしょう。
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(2)高額商品の衝動買い
趣味や好きなことにお金を使ってしまうタイプだと、高級腕時計やブランド品などほしいものがあると我慢ができず、つい衝動買いをしてしまうことがあります。
高額商品の衝動買いになると家計にも影響を与えますので、家計を管理する妻にとっては大きなストレスになります。 -
(3)飲み代や付き合い費が多い
付き合いの多い男性だと、職場の同僚や部下との飲み会が多く、飲み代だけでも大きな金額になるケースがあります。また、部下の飲み代をおごるような立場の場合、家計への影響も大きなものとなるでしょう。
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(4)趣味や推し活につぎ込む
趣味や推し活にお金を使うこと自体は決して悪いことではありませんが、家計に影響を与えるほどの金額をつぎ込むのは浪費にあたります。特定の趣味や推しにのめり込むと、趣味や推し活で家計費や養育費を圧迫してしまうことがあります。
2、夫の浪費は誰に相談する?
夫の浪費に疲れたときは誰に相談すればよいのでしょうか。
以下では、具体的なケース別に相談すべき専門家を説明します。
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(1)依存傾向があるならカウンセリングや治療
夫の浪費がギャンブル依存や買い物依存などの依存傾向がある場合には、浪費をやめたくても自分の意思ではやめられない状態になっているかもしれません。
依存症は、本人の心の弱さで起きている現象ではありませんので、専門の医療機関でのカウンセリングや治療が必要です。
まずは、夫と一緒に依存症治療専門の医療機関を受診してみるとよいでしょう。 -
(2)家計管理はFPなどの第三者を交える
家計管理の改善で立て直せる見込みがある場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)などの第三者を交えて相談をしてみるとよいでしょう。
FPは、金銭・資金管理に関する専門的知識を有し、家計改善や資産形成についてアドバイスしてくれます。妻からの浪費に対する注意や忠告には耳を貸さない夫でも、第三者であるFPの意見であれば受け入れてくれる可能性もあるでしょう。
FPに相談する際には夫婦に中立的な立場のFPを選ぶことをおすすめします。 -
(3)離婚を視野に入れるなら弁護士
夫の浪費に疲れてこれ以上は一緒に生活できないという場合は、離婚を視野に入れて弁護士に相談してみるとよいでしょう。
夫の浪費を理由に離婚する場合、まずは夫との話し合いによる協議離婚を目指します。話し合いの段階で夫が離婚に応じてくれれば「浪費」が理由でも離婚できますので、弁護士を入れるなどしてしっかり話し合っていきましょう。
話し合いで合意できないときは、家庭裁判所に離婚調停の申し立てが必要です。離婚調停は、第三者である調停委員が間に入り、離婚に向けた話し合いを行います。
ただし、夫の合意がなければ離婚できないのは協議離婚と同様です。
夫の浪費で離婚する場合、状況に応じて適切な手段を選択することが大切です。ケースごとに柔軟に対応できる、離婚問題の実績がある弁護士に相談するのがおすすめです。
お問い合わせください。
3、浪費を理由に離婚できるか?
夫が離婚に応じてくれないときは、最終的に離婚訴訟を提起することになります。
離婚訴訟では、以下のいずれかの法定離婚事由がなければ離婚をすることができません。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
以下では、夫の浪費が法定離婚事由に該当するのかについて説明します。
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(1)【悪意の遺棄】ギャンブルや買い物で生活費を使い込む
夫がギャンブルや買い物で生活費を使い込んでいる場合、法定離婚事由のひとつである「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。
悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居・協力・扶助義務を放棄する行為をいいます。家族が生活していくために必要なお金をギャンブルや買い物で使い込んでしまう行為は、家族の生活を困窮させ、基本的な義務である扶助義務に反する可能性があるため、悪意の遺棄と評価されることもあるでしょう。
もっとも、裁判例では、「悪意の遺棄」までは認められず、夫婦の話し合いの経緯なども考慮して「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として認められるケースが多いです。
この場合、夫の浪費の証拠となるカードの利用明細、レシート、領収書、通帳の履歴などのほか、夫婦の話し合いの経過を示す証拠として、浪費を咎めたにも関わらず夫が開き直っていること、または反省の態度を一度は示したにも関わらず浪費を繰り返していることが分かるラインのスクリーンショットなどを残しておくようにしましょう。 -
(2)【悪意の遺棄】浪費で借金がかさみ生活が破綻
浪費で借金がかさみ、借金返済のために家計が圧迫されているという場合も、夫婦の扶助義務に違反しているとして「悪意の遺棄」や「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる可能性があります。
もっとも、一時的に借金をしてしまったが、その後返済に努めている場合などは、直ちにこれらの法定離婚事由にはあたりません。
この場合、借金の使途が夫の私的な浪費であることや継続的・反復的な借金であることが重要になりますので、カードの利用明細、レシート、領収書、通帳の履歴などの証拠を残しておくようにしましょう。 -
(3)【DV】生活費を求めると暴力をふるう
「浪費をやめてほしい」「生活費が足りないからもう少し家計にお金を入れてほしい」などと妻がお願いをすると、夫が逆上して暴力をふるうケースがあります。
日常的に暴力が繰り返される状況は、DVにあたりますので法定離婚事由のひとつである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる可能性があります。
夫から暴力をふるわれたときは、怪我した部分の写真や診断書などの証拠を残しておくようにしましょう。
4、浪費癖の夫と離婚する前に知っておきたいこと
浪費癖の夫と離婚をするなら、以下のような事項を押さえておきましょう。
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(1)夫の浪費による借金に支払い義務はない
夫が浪費により多額の借金を重ねている場合、不安になるのが「夫の借金を妻が返済しなければならないのか」ということです。
民法では、日常生活に必要な範囲の借金(日常家事債務)については、夫婦が連帯して返済する義務があると定められていますので、夫名義の借金であっても日常家事債務にあたる場合には妻にも返済義務が発生します。
しかし、日常家事債務は、主に以下のような範囲の支出に必要となる借金を指します。日常家事債務にあたる費用
- 日用品の購入費
- 家具、家電の購入費
- 食費
- 医療費
- 教育費
- 光熱費
- 保険料
夫の浪費による借金は、日常家事債務には含まれませんので、妻が保証人や連帯保証人になっていない限りは、妻に返済義務が生じることはありません。離婚をしても夫の借金を返済する必要はないため、安心して離婚の手続きを進めることができます。
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(2)慰謝料を請求できるケースもある
離婚に至る理由によっては夫に対して慰謝料を請求できる可能性があります。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。慰謝料請求が検討できるケース
- 夫の浪費が離婚の直接的な原因となっている
- 浪費癖のある夫から日常的に暴力をふるわれている
- 夫が不倫相手に貢ぐなどして浪費をしている
このような理由で夫に対して慰謝料請求をするには、証拠により夫の有責性を立証していかなければなりません。
そのため、夫に離婚を切り出す前に十分な証拠を確保しておくことが重要です。 -
(3)夫の浪費による離婚は弁護士に相談を
夫の浪費による離婚をお考えの方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、夫の浪費が裁判離婚に必要な法定離婚事由に該当するかどうかが判断でき、今後の離婚に向けた方針を明確にすることができます。
また、弁護士に依頼すれば浪費癖のある夫との離婚交渉をすべて弁護士に任せることができます。すでに夫との話し合いに疲れ果てている場合、夫への嫌悪が強くなっている場合などは、弁護士に交渉を任せることで精神的負担を大きく減らすことができるでしょう。
交渉で解決できなかった場合も、引き続き弁護士が、離婚調停や離婚裁判の手続きへと移行し、離婚成立まで安心して任せることができます。
少しでも有利な条件で離婚したいなら離婚問題の解決実績がある弁護士のアドバイスやサポートが大切です。
早めに弁護士に相談することで、心の負担を減らし、離婚後の安定した生活に向けたサポートが受けられます。
5、まとめ
夫の浪費で生活が困難になり「もう疲れた」と離婚を考える方もいらっしゃるでしょう。
浪費の原因や程度によっては、裁判で離婚が認められる「法定離婚事由」に該当します。夫が離婚を拒否しても裁判により離婚できる可能性がありますので、お悩みの際は、まず弁護士に相談することをおすすめします。
浪費による離婚が可能かは、法的観点からの検討が必要になります。夫の浪費で離婚をお考えの方は、離婚トラブルの解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 池袋オフィスまでお気軽にご相談ください。
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