育児や家事をしない夫と離婚したい! 知っておくべきポイント
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東京都豊島区が公表している統計資料によると、令和4年に離婚した人数は377人であり、婚姻数と共に年々減少傾向にあることがわかっています。
共働きであるにもかかわらず、家事の負担をすべて妻に押し付けられてしまうと、「一緒に生活する意味がわからない」などと感じ、離婚を考える方もいるかもしれません。しかし、そもそも夫が家事をしないという理由だけで離婚することができるのでしょうか。家事をしない夫と離婚をするには、いくつか押さえておくべきポイントがありますので、少しでも有利に離婚を進めるためにもこれらのポイントをしっかりと理解しておくことが大切です。
本コラムは、家事をしない夫と離婚する方法と離婚する際に知っておくべきことについて、ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスの弁護士が解説します。
1、育児や家事をしない夫と離婚できるのか?
育児や家事をしない夫と離婚することはできるのでしょうか。以下では、協議離婚および調停離婚による離婚の方法について説明します。
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(1)協議離婚とは
協議離婚とは、夫婦の話し合いにより離婚の合意をして離婚する方法です。夫婦が離婚に合意した場合には、離婚届に記入をして、それを市区町村役場に提出すれば離婚が成立となります。協議離婚は、もっとも一般的な離婚の方法であり、離婚をする夫婦の大部分がこの協議離婚により離婚しています。
協議離婚では、夫婦がお互いに離婚に同意していれば、どのような理由であっても離婚することができます。そのため、離婚の理由が「夫が育児や家事をしない」という理由であったとしても、夫が離婚に応じてくれるのであれば離婚は可能です。 -
(2)調停離婚とは
調停離婚とは、家庭裁判所に離婚調停という手続きを利用して離婚をする方法です。夫婦の話し合いで離婚の同意が得られない場合には、次の段階として、離婚調停の申し立てが必要になります。
離婚調停では、夫婦が直接顔を合わせて話し合いをする必要がなく、第三者である調停委員を通じて話し合いが進められていきます。そのため、お互いに感情的にならずに冷静に話し合いができるというメリットがあります。また、協議離婚と同様に離婚調停も夫が離婚に同意してくれればどのような理由であっても離婚をすることができます。
ただし、夫が育児や家事をしないという理由だけでは、夫が離婚に同意してくれないこともありますので、その場合には、協議離婚や調停離婚では、離婚するのは難しいでしょう。
2、育児や家事をしない夫が離婚に同意しない場合は?
育児や家事をしない夫が離婚に同意してくれないときは、裁判離婚によって離婚を進める必要があります。
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(1)裁判離婚とは
裁判離婚とは、家庭裁判所の訴訟手続きにより、強制的に離婚を成立させる方法です。裁判所が当事者からの主張立証を踏まえて、強制的に離婚を成立させることができますので、夫が離婚に同意してくれない場合であっても離婚をすることができます。
ただし、裁判所に離婚を認めてもらうためには、民法が規定する法定離婚事由が存在する必要があります。法定離婚事由には、以下の5つの事由があります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
これらの5つの事由のうちいずれかに該当する事情がなければ、裁判離婚をすることはできません。
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(2)夫が育児や家事をしないという理由は法定離婚事由にあたる?
夫が育児や家事をしないという理由は、法定離婚事由のうちのいずれにも該当しませんので、そのような理由だけでは裁判離婚をすることはできません。
ただし、他の事情と合わせて考慮することで法定離婚事由に該当するケースもありますので、事案によっては離婚できるケースもあります。そのようなケースとしては、以下のものが挙げられます。
- 夫が家事や育児に協力せず、自宅にもほとんど帰ってこない
- 十分な生活費を稼いでいるにも関わらず、家庭に生活費を入れてくれない
- 家事をしない夫と別居をして長期間が経過している
- 「家事は女性の仕事」という考えに固執して、モラハラを繰り返す
3、離婚を検討し始めた際に知っておくべきこと
今後有利に離婚を進めるためにも、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
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(1)財産分与
夫婦が離婚する際には、お互いに築いた財産を分けることができます。このような制度を財産分与といいます。夫が会社員で、妻が専業主婦という家庭であっても、妻は家事や育児によって財産形成を支えていたと評価することができますので、基本的には2分の1の割合での財産分与を求めることができます。
財産分与を行う場合、お互いの名義財産を開示し合うことになりますが、相手がすべての財産を開示せず、財産の一部を隠してしまうこともあります。このような財産隠しをされてしまうと適正な財産分与を行うことが困難になりますので、離婚を切り出す前に相手の名義財産をある程度把握しておくことが大切です。 -
(2)慰謝料
離婚に至る原因について夫側に非がある場合には、夫に対して慰謝料請求をすることができます。慰謝料請求ができる代表的なケースとしては、不貞行為、DV、モラハラなどが挙げられますが、正確の不一致などは夫婦どちらにも非はありませんので慰謝料請求はできません。
慰謝料を請求する際には、相手の有責性を証拠によって立証していかなければなりません。相手に離婚を切り出した後では、慰謝料請求に必要になる証拠を入手するのが困難になるケースもありますので、早めに証拠収集を進めるようにしましょう。 -
(3)親権
夫婦に子どもがいる場合には、離婚時にどちらか一方を子どもの親権者に指定しなければなりません。
お互いに親権を主張する可能性がある場合には、離婚の合意ができていても子どもの親権者が決まらず、裁判にまで発展することがあります。その際には、以下のような要素を踏まえて、どちらが親権者としてふさわしいかを判断します。
- 監護の継続性
- 母性優先の原則
- 兄弟不分離の原則
- 子の意思の尊重
子どもが幼いうちは、母親の方が親権獲得にあたっては有利になりますが、別居の際に相手に子どもを連れて行かれてしまうと不利になる可能性もあります。そのため、将来子どもの親権を獲得しようと考えている場合には、上記の要素を踏まえて慎重に行動することが大切です。
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(4)養育費
離婚後は、子どもの生活費などの費用として非監護親に対し、養育費を請求することができます。
養育費の金額などの諸条件は、基本的には夫婦の話し合いで決めていくことになりますが、話し合いがまとまらないときは、裁判所が公表している養育費算定表を利用するのがおすすめです。養育費算定表を利用すれば、お互いの収入や子どもの人数・年齢に応じた、適正な養育費の相場を把握することができますので、スムーズに話し合いを進めることが可能になります。
また、ベリーベスト法律事務所では養育費計算ツールを公開しております。子どもの人数や年齢、年収などをご入力いただくことで、簡単に養育費の金額をシミュレーションすることが可能です。今すぐにでも金額の目安を知りたい方は、ぜひご活用ください。
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4、離婚を決意したときに弁護士に相談するべき理由
以下のような理由から、離婚を決意した場合にはまずは弁護士に相談するのがおすすめです。
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(1)法定離婚事由の有無を判断してもらえる
夫が離婚に応じてくれない場合には、最終的には離婚訴訟を提起して、裁判所に離婚を判断してもらう必要があります。その際には、法定離婚事由が必要になりますが、「家事をしない夫」という理由だけでは、法定離婚事由には該当せず、離婚を認めてもらうことはできません。
そのため、まずは弁護士に相談をして、夫が家事をしてくれないという理由以外に裁判離婚が可能な事情があるかどうかを判断してもらうとよいでしょう。法定離婚事由の有無によって、今後の離婚手続きの進め方が変わってきますので、離婚を決意したら早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。 -
(2)弁護士が代理人として交渉することができる
弁護士に依頼をすれば、弁護士が本人に代わって、相手との交渉を行ってくれます。夫が家事をしないというケースでは、妻に対するモラハラが行われているケースもありますので、弁護士が代理人として交渉してくれれば、直接相手と話さずに済みますので、精神的負担は大幅に軽減されるといえるでしょう。
また、弁護士が交渉することで適正な離婚条件での離婚ができる可能性も高くなりますので、不利な条件で離婚するリスクを回避できます。 -
(3)調停や訴訟のサポートをしてもらえる
当事者同士の話し合いで解決できない場合には、離婚調停や離婚訴訟などの手続きが必要になります。
調停は、話し合いの手続きといっても初めての方では不安や緊張から言いたいことも言えずに手続きが終了してしまうこともあります。また、訴訟になれば専門的知識や経験が不可欠になりますので、一般の方では適切に進めることは難しいといえます。
弁護士に依頼をすれば、調停や訴訟に関してもサポートを受けられますので、安心して離婚手続きを進めることができます。
5、まとめ
家事をしない夫とは、協議離婚や調停離婚によって離婚することができます。ただし、夫が同意してくれなければ、育児・家事をしないという理由だけでは、離婚を成立させることは難しいといえます。そのような場合には、法定離婚事由の有無によって、今後の離婚の進め方が変わってきますので、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談すれば、育児・家事をしない夫との離婚を進めるうえでのアドバイスや、裁判離婚になった場合のサポートを受けられるなどのメリットがありますので、まずは、ベリーベスト法律事務所
池袋オフィスまでお気軽にご相談ください。
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