契約した脱毛ローンが払えない! 払えない場合の対処法は?

2023年03月06日
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契約した脱毛ローンが払えない! 払えない場合の対処法は?

美容意識の高まりから、脱毛サロンや医療脱毛を利用している方も多いでしょう。当オフィスがある池袋駅周辺にも、多くの脱毛サロンや脱毛クリニックがありますので、脱毛の需要が大きいことがよくわかります。

脱毛サービスを利用する際に、費用が高額のため一括での支払いが難しく、脱毛ローンを利用しているという方も少なくないでしょう。しかし、その後の収入状況に変化があり、脱毛ローンの支払いが厳しくなったり支払えなくなったりした場合、どのように対応したらよいのかわからなくなってしまうかもしれません。

今回は、脱毛ローンが支払えなくなった場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスの弁護士が解説します。

1、脱毛のローンが払えない場合に起こること

脱毛ローンが支払えない状況になった場合には、以下のようなことが起こります。

  1. (1)支払いを求める電話連絡

    脱毛ローンは一般的に、エステティックサロンや脱毛クリニックが提携しているローン会社を利用します。脱毛ローンの支払いは、毎月一定額の支払いをしていくことになりますが、口座の残高不足などにより支払日に引き落としができなかった場合には、ローン会社から支払いを求める電話連絡が来ます

  2. (2)書面による督促

    ローン会社からの電話連絡を無視していたり、支払いを滞った状態で放置していたりした場合には、自宅に書面での督促状や催告書が届きます。

  3. (3)内容証明郵便による一括返済請求

    脱毛ローンの契約時に、一定回数以上滞納が続いていたり、滞納金額が一定金額に達したりした場合には、期限の利益を喪失し、残額について一括返済を求められるという条項が設けられていることがあります。
    書面による督促にも対応しない場合には、ローン会社から一括返済を求める内容証明郵便が送られてきます。

  4. (4)訴訟提起

    一括返済ができない場合には、ローン会社から裁判所に訴訟提起が行われます。脱毛ローンを利用したことや滞納が生じていることは事実ですので、ローン会社の請求通りの判決が言い渡されるでしょう。

  5. (5)差し押さえ

    判決が確定すると、それ以降はいつでも債務者の財産を差し押さえることができる状態になります。脱毛ローンの申込時に勤務先の情報などを記載していた場合には、ローン会社が強制執行の申し立てを行い、債務者の給料を差し押さえるなどの対応をする可能性があります
    給料が差し押さえられてしまうと、ローンの滞納をしていることが職場に知られてしまいますので注意が必要です。

2、契約した脱毛のローンが払えない場合の対処法は?

契約した脱毛ローンが支払えない場合には、以下のような対処法が考えられます。

  1. (1)クーリングオフ

    特定商取引法では、継続的なサービス(美容医療、エステティック、家庭教師、語学教室、パソコン教室、学習塾、結婚相手紹介サービス)のうち一定条件を満たす契約を「特定継続的役務提供」としています。

    医療脱毛や脱毛サロンでの美容医療サービスについては、期間が1か月を超えて、金額が5万円を超える場合には特定商取引法が適用される特定継続的役務提供にあたりますので、契約書面を受け取った日から8日間であればクーリングオフをすることができます。

    契約段階で、自身の返済能力を大きく超えるような内容の契約をしてしまった場合には、クーリングオフを行うことでトラブルを避けることができます。

  2. (2)中途解約

    契約書面を受け取った日から8日間を経過してしまうと、クーリングオフによる無条件での解約をすることはできません。しかし、契約期間内であれば中途解約が可能です。

    特定商取引法が適用される美容医療サービス(契約期間が1か月を超え、金額が5万円を超えるもの)に関しては、特定商取引法によって消費者が負担する違約金・解約手数料の上限は、以下のように定められています。

    • サービス提供前:2万円
    • サービス提供後:「すでに提供されたサービス料金+5万円」または「未提供のサービス料金の20%相当額」のいずれか低い方


    支払い済みの代金との差額が上記の負担額を上回っている場合には返金を受けることができ、反対に不足がある場合には追加の支払いが必要になります。なお、特定商取引法の適用がない契約の場合には、脱毛サロンや脱毛クリニックが定める違約金・解約手数料に関する条項に従うことになります。

3、滞納してしまっている場合は債務整理を行う

脱毛ローンを滞納してしまっている場合には、債務整理を行うことをおすすめします。

  1. (1)債務整理とは

    債務整理とは、借金の支払いができない状態になってしまった場合に、借金を減額・免除したり、支払い方法の変更をしたりすることによって、借金に関する悩みを解決できる手続きのことをいいます。

    脱毛ローンだけの債務整理をすることもできますし、脱毛ローン以外にも借金があるという場合には、まとめて債務整理をすることにより、借金問題を解決できます。ただし、後述するように債務整理には三つの方法があり、それぞれメリットとデメリットがありますので、借金に関する問題をより効果的に解決するにはご自身に合った債務整理の方法を選択することが大切です。

  2. (2)債務整理の方法

    債務整理には、以下の三つの方法があります。

    1. ① 任意整理
      任意整理とは、債権者と交渉を行い、毎月の返済額の減額や将来利息のカットなどによって、生活に支障のない範囲での返済を可能にする方法です。任意整理の結果、過払い金が発生していることが判明した場合には、払いすぎたお金を取り戻せます。

      任意整理は、自己破産や個人再生に比べると大幅に借金を減免する効果は期待できませんが、裁判所を通さない債務整理の方法ですので、債務整理の対象となる債権者を自由に選ぶことができるというメリットがあります。そのため、たとえば、保証人に迷惑をかけたくないという場合には、保証人付きの債権を除いて任意整理をするということも可能です。

    2. ② 自己破産
      自己破産とは、裁判所に申し立てをして、免責決定を受けることによって借金の支払い義務を免除してもらうことができる方法です。

      自己破産をすることによって、原則として借金をゼロにできるという大きなメリットがありますが、20万円を超える預貯金や生命保険などの価値のある財産を保有している場合には、それらを手放さなければなりません。さらに、一定の職業について、破産者は従事できないなどの資格制限があるため、そもそも自己破産という選択をとれない人もいます。

      また、任意整理と異なり、対象となる債権者を自由に選ぶことは出来ませんから、保証人がいる場合には、保証人にも影響が出てしまいます。

    3. ③ 個人再生
      個人再生とは、裁判所に申し立てして、再生計画の認可を受けることによって借金を大幅に減額し、減額後の借金を原則3年(最長5年)の分割払いがめられるという方法です。
      自己破産のような借金をゼロにするまでの効果はありませんが、住宅などの財産を残したまま債務整理ができ、資格制限を受けることもありません。
  3. (3)債務整理をする際の注意点

    債務整理をする際には、以下の点に注意が必要です。

    1. ① ブラックリストに載るため、長期間ローンを組むことができない
      債務整理をした場合には、債務整理をしたという情報がいわゆる「ブラックリスト」に掲載されます。ブラックリストの内容は、銀行、消費者金融、クレジットカード会社が照会することが可能なため、債務整理後は、新規の借り入れやクレジットカードの申し込みができなくなってしまいます。

      ブラックリストに掲載される期間は、約5年~10年程度ですので、その間は、上記のような取引が制限される点に注意してください。

    2. ② 債務整理は早めに行う
      借金の返済が滞った状態だと、本来支払うべき元金・利息に加えて高額な遅延損害金が発生してしまいます。長期間滞納したまま放置していると、遅延損害金が元金を超えてしまうという事態にもなりかねません。

      また、借金の返済を滞納したままだと、債権者から訴訟提起されたり、財産を差し押さえられたりするなどのリスクも高まるため、借金の支払いが難しいと感じた場合には、早めに債務整理の手続きを行いましょう。

4、脱毛のローンが払えない場合、どこに相談したらいい?

脱毛ローンが支払えない場合には、以下のようなところに相談をするとよいでしょう。

  1. (1)消費生活センター

    消費生活センターでは、事業者と消費者との間の消費者トラブルに関する相談に応じてもらえます。脱毛ローンも脱毛サロン・脱毛クリニックといった事業者と消費者との問題になりますので、消費生活センターで対応が可能です。

    ただし、消費生活センターでは、あくまでもトラブルに関する相談が対象になりますので、サロン側に問題があった場合やクーリングオフに関する問題が生じた場合には適していますが、単にエステティックローンの支払いが難しいという場合には、専門家に相談をした方がよいでしょう。

  2. (2)司法書士

    司法書士は、登記に関する専門家ですが、債権者1社につき140万円までの範囲内での対応が可能です。ただし、自己破産や個人再生の申し立てをする際には、書類作成の代理人にしかなることができず、裁判官との面談に同席をすることができない点には注意してください。

  3. (3)弁護士

    脱毛ローンが支払えなくなり債務整理を検討している場合には、弁護士へ相談をしましょう。専門的知識を持つ弁護士に相談することで、個人に合った解決策を提案したり代理人として手続きや交渉を対応したりしてもらえます

5、まとめ

脱毛ローンは、長期かつ高額なローン契約のため、エステティックサロンやローン会社との間でトラブルが生じやすい契約ともいえますが、このようなトラブルは、早期に対応することによって解決可能な場合もあります。

脱毛ローンが支払えず悩んでいる場合は、お早めにベリーベスト法律事務所 池袋オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています