相続人調査の範囲はどこまで? 調査の必要性や手順を解説

2024年11月21日
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相続人調査の範囲はどこまで? 調査の必要性や手順を解説

豊島区が公表している人口動態の統計資料によると、令和5年の豊島区内の死亡者数は、2557人でした。

遺産相続が発生した場合には、誰が相続人にあたるかを調べる必要があります。このような調査を「相続人調査」といいます。相続人に漏れがあると遺産分割協議が無効になるリスクがあるため、正確に調査することが大切です。また、相続人調査にあたっては、戸籍謄本などの取得が必要になるため、「どの範囲の戸籍謄本などが必要になるのか」をしっかりと理解しておく必要があります。

本コラムでは、相続調査の範囲はどこまでか、調査の必要性や手順などについて、ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスの弁護士が解説します。


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1、そもそも相続人調査とは? 相続人調査の必要性

まず、相続人調査という手続きの概要や、必要性を説明します。

  1. (1)相続人調査とは?

    相続人調査とは、相続人が誰であるかを確定させるために行う調査です。
    被相続人が死亡した際に、相続人になることができる人を「法定相続人」といいます。

    民法では、法定相続人の範囲と順位が定められているため、それにしたがって誰が相続人にあたるのかを確定していきます。
    一般的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを取り寄せることで相続人調査を行います。

  2. (2)相続人調査の必要性

    被相続人の遺産を分けるためには、相続人による遺産分割協議が必要になります。
    遺産分割協議には相続人全員が参加しなければならないため、相続人のうちのひとりでも欠けていた場合、遺産分割協議が無効になり、最初からやり直す必要が生じてしまいます

    また、遺産分割協議を終えて預貯金の払い戻しや相続登記を行う際に、対外的にも相続関係を明らかにする必要があるため、相続人調査で取得した戸籍謄本などが必要になります。
    そのため、「相続人が誰であるかはわかっている」という場合にも、相続人調査は行わなければならないのです。

2、相続人調査の範囲はどこまで? どのように調べる?

以下では、相続人調査ではどの範囲まで調べる必要があるか、相続人を調べる方法について解説します。

  1. (1)相続人調査の範囲

    相続人調査の目的は、相続人を確定させることにありますので、相続人調査の範囲を理解するためには、法定相続人の範囲と順位に関する理解しておくことが必要になります。

    民法では、法定相続人に関して、以下のような範囲および順位を定めています。

    • 配偶者:常に相続人になる
    • 子ども:第1順位の相続人
    • 両親:第2順位の相続人
    • 兄弟姉妹:第3順位の相続人


    配偶者は常に相続人になることができますが、それ以外の法定相続人には相続順位が定められています
    先順位の相続人がいる場合には、後順位の相続人は、遺産を相続することができません。

    たとえば、被相続人に配偶者、子ども、両親、兄弟姉妹がいた場合には、当該相続では配偶者と子どもが相続人になり、両親と兄弟姉妹は相続人にはあたりません。
    このように法定相続人の範囲と順位を理解すれば、おのずと相続人調査の範囲も確定できます。

  2. (2)相続人調査の方法

    相続人調査を行う際には、まずは被相続人の出生から死亡までの連続したすべての戸籍謄本などを取得します。
    戸籍は、人が生まれてから死亡するまでを記録した公的な証明書です。
    出生、婚姻、離婚、出産、養子縁組などの身分関係のすべてが記載されています。そのため、戸籍謄本などを読み解けば、被相続人が生まれてから亡くなるまでの身分関係が明らかになり、それにより相続人を確定することができるのです。

    また、調査の対象となる戸籍には、以下の三種類があります

    ① 戸籍謄本
    「戸籍謄本」とは、戸籍に記載された全員の身分事項を証明するものです。
    戸籍には、配偶者や子どもなども入っているため、戸籍謄本を取得することで、戸籍に記載されたすべての人の身分関係を証明することができます。
    相続人調査では、戸籍謄本に被相続人が死亡した事実や法定相続人に含まれる人が記載されている可能性があります。

    ② 除籍謄本
    「除籍謄本」は、戸籍に記載された全員が戸籍から抜けて閉鎖されたものになります。
    戸籍に入っている人が結婚、死亡、転籍などにより抜けてしまい、戸籍に誰もいなくなるとその戸籍は閉鎖され除籍謄本となります。

    ③ 改正原戸籍謄本
    「改製原戸籍謄本」とは、法改正により形式が変更になり閉鎖された戸籍のことをいいます。戸籍法が改正されると、新しい様式の戸籍に作り変えられることがあります。
    その場合、古い戸籍は除籍されて、「改正原戸籍謄本」と呼ばれるものになるのです。
    現在の戸籍は、横書きでコンピューター化されており非常に読みやすいものになっていますが、以前は、縦書きでかつ手書きで書かれていたため内容を読み取るのに苦労することがあります。
    このような古い手書きの戸籍が、改正原戸籍謄本です。
    相続人調査では、改製原戸籍謄本に被相続人の過去の離婚歴などが記載されていることもあるため、しっかりと内容を確認する必要があります。
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3、相続人調査の手順

以下では、相続人調査を進める手順を解説します。

  1. (1)相続人の範囲と順位を理解する

    相続人調査を行うためには、まずは、相続人の範囲と順位を理解することが大切です。
    相続関係図などを作成しながら、相続人の範囲と順位を整理していきましょう。

  2. (2)被相続人の戸籍謄本などを集める

    相続人調査は、戸籍謄本などを取得する方法で行いますが、まずは被相続人の出生から死亡までの連続したすべての戸籍謄本を取得することになります。

    被相続人の本籍地ですべての戸籍謄本などが集まる場合もありますが、結婚、離婚、転籍などを繰り返しているケースでは、複数の市区町村役場で戸籍謄本などの取得を行わなければなりません。
    その場合には、最新の戸籍から徐々にさかのぼっていく方法で古い戸籍を取得することになります。

  3. (3)戸籍を読み解く

    被相続人の出生から死亡までの連続したすべての戸籍謄本を取得したら、その戸籍を読み解いて、次に必要な戸籍を調べましょう。

    たとえば、被相続人に子どもがいて、被相続人の戸籍謄本に記載がない場合には、転籍先の本籍地から子どもの戸籍謄本を取得する必要があります。
    また、子どもの転籍先は被相続人の戸籍謄本などに記載されているため、しっかりと確認することが大切です。
    被相続人が複雑な身分関係をたどっていたとしても、戸籍をじっくりと読み解くことで、相続関係を明らかにすることができます。

  4. (4)法定相続人の上位順位者から戸籍を集めていく

    被相続人の戸籍謄本などを読み解くことができたら、次は、法定相続人の順位にしたがって、上位順位者から戸籍謄本を集めていきます。
    上位順位者が死亡していない場合には、次順位の相続人へと相続権が移るため、次順位の相続人の戸籍謄本を取得する必要があります。

    なお、先順位の相続人が死亡していたとしても、被相続人よりも前に死亡しており、先順位の相続人に子どもがいる場合には、代襲相続により、被相続人の孫や甥・姪が相続人になることもある点に注意してください

4、相続人調査を弁護士に依頼するメリット

以下では、相続人調査を弁護士に依頼することのメリットを解説します。

  1. (1)正確な相続人調査が可能

    相続人調査を行うためには、法定相続人の範囲および順位や戸籍の読み解き方を理解しておく必要があります。
    もし相続人調査で漏れがあり、相続人の一部を欠いて遺産分割協議を行っても遺産分割協議が無効になり、やり直しをしなければならない可能性があります。

    弁護士であれば、豊富な経験に基づき、正確かつ迅速な相続人調査を行うことができます。不慣れな方ではすべての戸籍を収集するまでに相当な期間がかかってしまいますので、早めに遺産分割協議に着手するためにも弁護士に依頼することをおすすめします。

  2. (2)相続関係が複雑な場合には知識や経験が不可欠

    「被相続人が養子縁組をしている」「結婚や離婚を繰り返している」などのケースでは相続関係が複雑になり、相続人も多くなる場合があります。
    このように相続関係が複雑な場合では、見落としの生じる可能性が高くなるため、弁護士に依頼することをおすすめします。

    また、このようなケースでは、相続人調査後の遺産分割協議でもトラブルになる可能性が高いといえます。
    円滑な遺産分割を実現するため、遺産分割協議についても、引き続き弁護士に任せることをおすすめします

5、まとめ

どこまで相続人調査を行う必要があるかは、被相続人の生前の身分関係などによって異なります。
また、相続人調査をするためには、法定相続人の範囲・順位や戸籍の読み解き方に関する理解が不可欠です。
「自分だけでは不安…」という方は、早めに弁護士に相談しましょう。

相続人調査に関するお悩みや困りごとがある方は、まずはベリーベスト法律事務所 池袋オフィスまで、お気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています