交通事故で全治3か月の負傷! 治療に専念し適切な慰謝料をもらう方法
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池袋警察署が公表している交通事故に関する統計資料によると、令和3年に池袋警察署管内で発生した交通事故件数は、236件でした。
交通事故で負傷して、全治3か月と診断された場合には、比較的重い怪我であると考えられます。完治を目指してしっかりと治療を続けることが大切ですが、適切な慰謝料を受け取るためにも病院への定期的な通院が重要となります。
今回は、交通事故で全治3か月の怪我を負った場合に、適切な慰謝料を受け取る方法を、ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスの弁護士が解説します。
1、交通事故で全治3か月とされる怪我は?
交通事故で全治3か月と診断される怪我には、どのようなものがあるのでしょうか。
また、全治3か月の怪我をした場合には、加害者に対して、どのような処分が下されるのでしょうか。
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(1)全治3か月と診断される可能性のある症状
交通事故で負傷をした場合、医師から「全治○か月」と診断されることがあります。
医師から伝えられる「全治」とは、怪我の治療のために通院が必要な期間のことで、元の状態に戻る「完治」とは異なります。
実際の治療期間と、全治○か月という診断は、一致するとは限りませんので、あくまでも治療期間の目安として考えておくとよいでしょう。
なお、交通事故で全治3か月程度、診断される可能性のある症状としては、以下のものが挙げられます。- むちうち(頸椎(けいつい)捻挫、外傷性頚部(けいぶ)症候群)
- 骨折
- 脱臼
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(2)加害者への処分内容
被害者に対して全治3か月の怪我を負わせた加害者は、以下の処分となる可能性があります。
① 行政処分
交通事故を起こした加害者に対しては、違反内容に応じた点数が加算され、一定以上の点数が累積された場合には、免許停止または免許取り消しといった行政処分が課される可能性もあります。
交通事故の違反点数がどのように加算されるのかは、事故に遭った方の被害の程度によって異なります。(例)
- 全治3か月以上の傷害を負わせた場合…13点(被害者にも過失がある場合には9点)
- 全治30日以上から3か月未満の傷害を負わせた場合…9点(被害者にも過失がある場合には6点)
② 刑事処分
人身事故を起こした場合には、道路交通法、自動車運転死傷行為処罰法、刑法などによって、罰金や禁錮、懲役といった刑事処分が課される可能性があります。
たとえば、注意不足で人を死傷させた場合には、過失運転致死傷罪が成立し、7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金といった処罰が与えられる可能性があります。
2、適切な慰謝料を受け取るために被害者がすべきこと
適切な慰謝料を受け取るためにも、全治3か月と診断された場合、以下のような対応を取りましょう。
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(1)定期的な通院をする
交通事故の被害者の方の中には、仕事や家事・育児で忙しく、定期的な通院が難しいという方もいるかもしれません。
しかし、治療から次の治療まで一定の期間がたってしまうと、治療が中断したものと判断されて、それ以降の治療については、交通事故との因果関係を否定されてしまう可能性があります。
また、交通事故の慰謝料については、通院日数や通院期間を基準に算定することになりますので、通院日数や期間が極端に少ないという場合には、最終的に受け取れる慰謝料が少なくなってしまうおそれがあります。
このようなことを防ぎ、適切な慰謝料を受け取るためには定期的な通院が重要となります。 -
(2)治療の終了は医師の判断で行う
交通事故の治療を続けていると、加害者の保険会社から、治療の終了を打診されるケースがあります。しかし、このような打診を受けたとしても、安易に応じてはいけません。
交通事故の治療の終了時期については、保険会社の担当者が判断するのではなく、病院の医師の判断が重要視されます。
医師が治療継続の必要性があると判断しているのであれば、引き続き治療を続けるようにしましょう。
3、通院期間が3か月のとき受け取れる慰謝料の相場と計算方法
通院期間が3か月であった場合には、どの程度の慰謝料をもらえるのか、慰謝料の算定基準とその計算方法を見ていきましょう。
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(1)慰謝料の算定基準
交通事故の慰謝料には、怪我をして入通院を余儀なくされたことに対する入通院慰謝料(傷害慰謝料)と、後遺障害が生じてしまった場合の後遺障害慰謝料の2種類があります。
いずれも被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われるものです。
しかし、被害者の主観を基準にしてしまうと、被害者ごとに慰謝料の金額に大きな隔たりが生じてしまううえ、その判断が困難となってしまいます。そのため、交通事故の賠償実務においては、通院日数や通院期間などを基準に、慰謝料の金額をある程度客観的に算定します。
慰謝料の算定基準は、以下の三つです。① 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)基準
自賠責保険基準とは、自賠責保険から慰謝料が支払われる場合の算定基準です。
自賠責保険が被害者救済を目的とした保険であることから、最低限度の補償となります。自賠責保険基準は、基本的には3つの基準の中でもっとも低い金額となる基準です。
② 任意保険基準
任意保険基準とは、加害者側の任意保険会社が慰謝料を支払う場合の算定基準です。
具体的な基準については、各任意保険会社が独自に定めていますので、その詳細については非公開ですが、自賠責保険基準に少し上乗せをした程度の金額になることが多いです。
③ 裁判所基準
裁判所基準とは、過去に起こった交通事故の裁判例の蓄積によって基準化された慰謝料算定基準であり、裁判所が慰謝料を算定する際に用いる算定基準です。
また、弁護士が保険会社との交渉で用いる基準でもあることから、弁護士基準とも呼ばれます。裁判所基準は、3つの算定基準の中で基本的にもっとも高い金額となる基準です。 -
(2)通院期間3か月の慰謝料相場
では、通院期間が3か月であった場合に、それぞれの慰謝料算定基準で計算した場合に、どの程度の慰謝料額になるのでしょうか。
任意保険基準は、基準内容の詳細が非公開のため、以下では自賠責保険基準と裁判基準を例にして説明します。① 自賠責保険基準
自賠責保険基準では、「4300円×対象日数」という計算方法によって、慰謝料額を算定します。対象日数は、以下のうちいずれか少ない方が基準となります。
- 通院期間
- 実通院日数の2倍
たとえば、通院期間が3か月(90日)、通院実日数が30日だった場合、通院実日数の2倍(30日×2)が通院期間よりも少なくなるため、対象日数は、通院実日数の2倍である60日です。
したがって、この場合における自賠責保険基準での慰謝料額は、4300円×60日=25万8000円と計算することができます。
② 裁判所基準
裁判所基準では、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤い本)」の別表ⅠまたはⅡを用いて、通院期間を基準に慰謝料額を算定します。
たとえば、骨折によって3か月(90日)通院をした場合には、別表Ⅰにより慰謝料額は73万円、むちうちによって3か月通院をした場合には、別表Ⅱにより慰謝料額は53万円となります。
4、弁護士に対応を依頼することで増額できることも
交通事故の慰謝料については、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準という3つの基準があり、裁判所基準がもっとも高額な慰謝料の基準です。
先ほど紹介した慰謝料額の例からもわかるとおり、裁判所基準と自賠責基準では、通院期間3か月の怪我であった場合に、2倍から3倍程度も慰謝料額に開きがあることがわかります。
被害者としては、当然、最も高額になる裁判所基準を用いて慰謝料額を計算したいと考えることでしょう。
しかし、被害者本人による交渉の場合、保険会社は、被害者自身が裁判を起こすことができない前提でいるため、裁判所基準を用いて計算しないことが大半です。
そのため、少しでも慰謝料額を増額したいと考える場合には、弁護士に依頼をすることをおすすめします。
弁護士に依頼をすることによって、慰謝料を増額できる可能性が高くなるとともに、面倒な保険会社との交渉もすべて任せられるので、精神的な負担も大幅に軽減することができます。
交通事故の被害にあった場合には、お早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。
5、まとめ
交通事故の慰謝料は、適切な通院をしたかどうかによって、金額が大きく変わることがあります。
そのため、交通事故の被害にあった際には、なるべく早く弁護士に相談をし、今後の対応などについてアドバイスを受けることが大切です。
交通事故の被害にあってしまった方は、ベリーベスト法律事務所 池袋オフィスにご相談ください。
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